忘れない一日。

2003年10月1日
退院した昨日。
彼氏の涙を見た。

一週間ぶりに二人で横になった布団の上、
ようやくほっと一息ついたところで、
「よかった」とつぶやく声が震えていた。

驚いた。

普段は、あまり感情的にならない人だから、
クールな人だから、そんな姿は滅多に見せてくれなかったし、何より、安堵感から涙を流す人なんて、そうそう見ることもなかったから。

「無事に帰ってきてくれてよかった」
「ありがとう」
涙を見せないように私を抱きしめながら、
何度もそう言ってくれる彼氏を、
このとき心底いとおしいと思った。

普段、なんともない、みたいな顔をして
しっかりリードしてくれている人だから、
私は本当になんともないんだと思っていた。
それが、人一倍心配してくれる人で、
誰よりも、私がこの家に戻ってくるのを
待っていてくれたんだってわかったとたん、
私も涙があふれてきた。

入院している間、私は、自分の体のことだから、
良いも悪いも、体調のことは自分でよくわかっていた。だから、回復が順調なのもわかっていたし、それほど深刻な状況でもないのはわかっていた。

でも、彼はどれほど心配だっただろう。
病室で横たわる私を見て、どれほど不安だっただろう。毎日見舞いに来る彼の表情は、いつも笑顔だったから、そんなこと気づきもしなかった。
とても申し訳なくなった。

母親はこう言っていた。
卵巣っていうものは、女しかもっていないものだから、それを持っていない男の人にとっては、卵巣の病気って言うのはとっても未知なる物。だから、お母さん以上にお父さんが、お父さん以上に、毎日あんたに付き添っている彼氏は、心配だったと思うよ。

恋愛が、違うものに変わったのを
心底実感した瞬間だった。
感謝と、愛情を噛み締めて。

昨日はそう、半年記念日。
良い記念日になったことを、
彼氏にも全てに感謝したい。

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